年齢を重ねるにつれて、私たちの口腔内環境も変化します。高齢者の方々にとって、口腔ケアは全身の健康を保つ上で非常に重要です。
歯科の2大疾病である歯周病。高齢者の方の歯を失う原因としてむし歯は比較的少なく、歯周病が圧倒的に割合が増加します。歯ぐきの免疫力も低下する傾向にあるので、正しい歯磨き方法や歯間ブラシの使用が歯周病の予防に役立ちます。
高齢者の方におすすめの歯ブラシを選ぶ際は、以下の点に注意して選ぶと良いでしょう。
当院では以下の項目を踏まえて、ライオン社のシステマ44MとシステマSP-Tという歯ブラシを主に推奨しています。
- 柔らかい毛質: 高齢者の方は歯茎が繊細になっていることが多く、硬い毛のブラシは歯茎を傷つける恐れがあります。柔らかい毛質のブラシが推奨されます。
- 小さめのブラシヘッド: 小さめのブラシヘッドを選ぶと、狭い場所や奥歯にも届きやすく、磨き残しを防ぐことができます。
- 持ちやすいハンドル: 高齢者の方は手の力が弱かったり、関節に問題を抱えていることがあります。太めのハンドルや滑りにくい素材、曲がったデザインなど、握りやすく操作しやすいハンドルが適しています。
- 電動歯ブラシの検討: 手の動きが限られる場合や、より効果的な清掃を求める場合には、電動歯ブラシが適していることがあります。振動や回転によって効率的にプラークを除去できます。
ドライマウス(口の乾燥)もよく見られる症状です。これは虫歯や口臭の原因となることもありますので、適切な水分摂取と、必要に応じて補助唾液剤の使用が推奨されます。当院ではウェルテック社のコンクールマウスジェルという製品を使用しております。
舌のヒリヒリした感じや前は感じていなかった歯が尖って感じる原因になることもあります。状態に応じて、漢方薬を処方することも可能です。歯科で使用可能な漢方薬は保険診療内で処方が可能です。
義歯を使用している場合、正しい義歯のお手入れ方法を実践することが口腔衛生を保つ上で不可欠です。義歯の適切な清掃は、口腔内の健康を保つために非常に重要です。
加えて、全身疾患と口腔健康の関係にも注意が必要です。特に、糖尿病や心臓病などの全身疾患をお持ちの方は、定期的な口腔ケアがさらに重要です。
お身体とお口の清掃状況に応じて、定期健診を1カ月~3か月ペースで推奨させていただいております。
高齢になっても、口腔内の健康を保つことは、全体の健康と生活の質を維持するために欠かせません。当院では、高齢者の患者様一人ひとりに合わせた口腔ケアのアドバイスとサポートを行っています。健康な口元で、毎日を快適にお過ごしいただけるようサポートいたします。