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2023.09.15

インプラントを用いた矯正

歯科において、インプラントというと歯を失った部分のあご骨の中にチタン製の人口の歯根を埋め込み、その上に歯を作る治療として、幅広く知られるようになってきました。これに対し、現在行われているインプラント矯正のインプラントは一般的なインプラントと比べ、その用途は大きく違うものです。その理由は、インプラント矯正のインプラントは、目的を達すれば撤去してしまうものだからです。失った永久歯の代わりにできる限り長く用いることを目標とするものとは基本的に考え方が全く異なるわけです。

それでは、インプラント矯正の利点はどのような点でしょうか。矯正歯科治療で、歯の移動を行う場合、固定源というものが必要であり、この固定源の獲得のためにいろいろな装置が考えられてきました。中には患者さんに大きな努力と協力を要求するものもありましたが、矯正治療用インプラントを用いることで、患者さんの努力と協力を大きく軽減することが可能になるとともに、治療の成果をより確実にすることができるようになりました。

さらに、従来の矯正治療では難症例の範ちゅうにあった歯の移動を可能にする等、矯正歯科治療の幅が広がったといえると思います。

欠点としては、インプラントを埋め込む処置や目的を達した後に撤去する処置が必要となることが挙げられますが、より負担の少ないものが開発されてきています。もちろん、インプラント矯正が矯正治療をされるどの患者さんにも適応ということではありません。年齢、歯並び、あごの状態によって異なります。人それぞれいろいろな要素があると思われますので、かかりつけ歯科医あるいは専門医に相談されることをお勧めします。

大阪府歯科医師会学術部 垣内 康弘
歯の健康アラカルト 毎日新聞 2007/03/08 掲載