根管治療
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歯を残すことを最優先に
根管治療(根幹治療)は、虫歯が進行し歯の神経(歯髄)に達した場合や、歯髄が腐敗してしまった際に、歯を保存することを目的として行われます。複雑な形で細く長く枝分かれした根管の治療は精密で繊細な処置が必要となるため肉眼での治療では完全に対処できる可能性が低くなってしまいます。当院では、CTやマイクロスコープを駆使した精密根管治療を行い、少しでも歯を抜きたくない、歯を残したいという患者様の思いに応えます。
歯が残せるか確認してほしい、歯の保存法がないか聞きたいという方は是非一度ご相談下さい。
根管治療とは
歯に栄養や水分を供給する、歯の中の歯髄(=神経繊維や血管)が通っている管を根管といいます。この歯髄が、深いむし歯、歯の亀裂、外傷などにより炎症や感染を起こしたときに歯の根の治療である根管治療が必要となります。炎症や感染を放置してしまうと根の周囲の組織に炎症が進行して、歯の痛みや歯肉の腫れといった症状が出てきます。さらに悪化してリンパ節の腫れによる発熱など、全身に影響が出ることもあるため、根管治療は早期に行い適切なケアをすることが重要です。
根管治療では、痛んだ歯髄を除去し、根管を注意深く清掃、再び感染しないよう根の中に詰め物をすることで、これらの症状を軽くしたり治癒や予防を行います。
保存か抜歯か
抜歯せずに歯を残すことを「保存」と言います。当院の基本理念としての「自分の歯に勝るものはない」という考えから、ご相談を受けた歯については保存できる(抜歯せず残せる)方法がないかを必ず検査・検討します。実際に、ご相談をいただく患者様の7~8割ほどの歯が治療によって「保存」が可能で、抜歯せずにもう一度、歯としての機能を取り戻すことができています。しかし、残りの2~3割程度の以下のような歯については「保存」が難しく、抜歯という選択を選ぶことになってしまいます。
- 歯が垂直方向に割れている場合(事故直後などを除く)
- 過去の治療で残っている歯が3mm程度しかない場合
- 歯周病と重なって、現在の歯の揺れが著しくひどい場合
当院では歯に穴が開いているケースや、大きな根の先の病巣、歯髄炎、歯根膜炎や根尖病巣などであれば、それを埋めるセメントや外科的歯内療法(マイクロサージェリー)といったテクニックで対応が可能です。歯の「保存」を諦めて抜歯を決断する前に、私たちと一緒に大切な歯を残せる方法を模索してみませんか?
当院の精密根管治療
根管治療においては歯の深部の歯髄を丁寧に取り除き、洗浄、殺菌する処置が最も重要になります。この処置が不十分なままかぶせ(ふた)をしてしまうと、根管の先端に膿がたまってしまい炎症を起こしてしまう可能性があります。その場合はかぶせ(ふた)をはずして、再度、根の中を洗浄、殺菌する事になってしまいます。重要な根管の洗浄殺菌ですが、歯の根の形は複雑で、肉眼で全体像を把握する事は難しく手探りで治療を行うのは非常に困難です。
そのため、当院では高度な設備を用いて安全、確実な治療を実現します。
CTやマイクロスコープを使用した根管の詳細な把握
安全、確実な根管治療を行うためには、その歯の根管の数や曲がり方、病巣の大きさ、位置などの正確な情報を知ることが重要となります。また、実際の治療にあたっては、非常に小さく細かい根管に対してアプローチするため、肉眼で治療を進めることは困難です。
当院ではCT検査により、対象の歯に関する情報を全て完全に把握することで手探りの治療を避ける事が可能です。さらに実際の治療の際はマイクロスコープを使用しする事で、最大20倍の拡大視野で根管を視認しながら治療を行い、根の状態の確実な把握、汚染物の取り残しを防ぎ、格段の治療成績へと結びつけています。
ラバーダム使用による無菌的処置
根管治療の目的は根管内を洗浄、殺菌することで、できる限り無菌の状態にすることです。しかし、口内の唾液中には細菌が常に存在し、それが根管内に入ると再度感染を起こす可能性があります。方法をとることが根管治療の成否に非常に重要となります。
当院の精密根管治療では、処置する歯以外をラバーダムというゴム膜で覆う「ラバーダム防湿法」で、治療する歯だけを隔離した治療空間を作り唾液からの細菌を防ぐことで無菌的処置を行うことが可能になり、再度感染をおこしてしまう再発リスクを小さくしています。
もし虫歯等で歯が大幅になくなってしまっている方には、ラバーダムがかけられない状態になるので、その場合は隔壁作成を行いラバーダムを使用できる状態にして根管治療を行います。
隔壁作成とはなくなってしまった歯の部分に、コンポジットレジンで人工的に歯の壁を作る処置です。
NiTiロータリーファイルによる汚染物の徹底した除去
歯の根は、真っ直ぐではなく、大きく曲がっていることがほとんどです。従来用いられているステンレスファイルでは器具の弾性が足りないため、根の先々まで洗浄することが困難でした。当院ではNiTi(ニッケルチタン)ファイルという非常に柔らかく弾性に富んだ器具を導入することで、根の大きな湾曲に対しても、沿ってしなり、効率的に汚染された組織を除去できます。
MTAセメントの使用
手探りに頼った根管治療を行った場合、正確な歯の状態を把握出来ていないために、治療中に歯に穴を空けてしまっていることもあります。この状態になると、感染を防ぐことができず違和感の原因となってしまいます。
この違和感の原因を取り除く方法として、当院では抜歯処置を施すのではなく、MTAセメントと呼ばれる生体親和性の高い材料を用いた治療を行います。神経を取り除かずにMTAセメントを使って神経を保護し穴を封鎖することで、痛みを引き起こさないまま神経を残すことが期待でき、歯の「保存」が可能となります。
精密根管治療のリスクと副作用
- 精密根管治療は自費診療(保険適応外)のため、保険診療に比べ費用がかかります。
- 治療後は痛み、腫れ、痺れなどが生じる場合があります。再発ができる限り起きないように精密に治療を行っておりますが、ケースによって症状が再発する可能性があります。
MTAセメントについての明示
MTAセメント療法について
当院ではプロルートMTAを使用しており、 医薬品医療機器等法(薬機法)の国内承認は取れていますが保険適応にはなっていません。
医療機器認証番号 21800BZY10238000
入手経路
国内の歯科材料卸より購入
国内の承認医薬品等の有無
現時点では、同一の効果を有する国内承認医療機器はありません。
諸外国における安全性等に係る情報
プロルートMTAは、歯科治療に伴う個別のリスク以外の重大な副作用の報告はありません。