むし歯治療
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可能な限り「削らない」「抜かない」治療
MI : Minimal Intervention
「Minimal Intervention(ミニマル・インターベンション)」(以下MI)は、歯科治療におけるアプローチの一つで、「必要最小限の侵襲」を意味します。このアプローチは、歯をできるだけ抜かず削らずに、歯質や歯髄への犠牲を最小限に抑え、本当に悪くなった部分だけを削除して修復する治療法を指します。
従来の一般的な歯科治療は、虫歯に侵された部分を削って詰め、そして削る部分がなくなれば歯を抜いてしまうといったものでした。一度削ってしまった歯は元には戻らず、また一度治療をしてしまうと再治療になってしまうこともよくあります。
MIの考え方は、歯科医療のコンセプトとして可能な限り健康な歯の構造を維持し、歯の寿命を長くすることを目指しています。これは、平均余命が着実に伸び、人生百年と言われる現代において、ますます重要な考え方となっています。
「痛くない」「削らない」治療
「出来るだけ削らない」MI治療と合わせて、患者様が求める「出来るだけ痛くない」治療を高いレベルで実現するため、かきうち歯科矯正歯科では長年の経験による技術と合わせて、治療に合わせた設備・機器を使用しています。
表面麻酔と電動麻酔器
しっかりと乾燥させた状態で表面麻酔を1分間塗り込むことで、針の刺入の痛みを和らげることができます。
また、電動麻酔器を使い、人間の手ではコントロールの難しい、ゆっくりとした速度で麻酔薬を注入します。
“極細の針”と“体温と同じ麻酔薬”
歯ぐきには痛点と呼ばれる、痛みを感じるポイントが1平方センチメートル辺り100~300個あるとされています。この痛点をなるべく避けることで痛みを減らすことが出来ます。
当院では痛点に触れないよう、34Gという歯科用の細い針を使用し、体温に近い温度まで薬液を温めておくことで痛みを感じにくくします。
初期虫歯の徹底した判定
MI治療において歯を出来るだけ残すためには、むし歯の早期発見が重要です。早めのチャンスを逃さず、正確に処置することが、削らないですむことに繋がります。また、削る必要がある場合も出来るだけ削りすぎない処置が求められます。
当院ではItero 5Dplusという機器でお口の状態をスキャンし、近赤外線にてむし歯を判定することも行っています。これにより、むし歯の早期判定を行い、経験と勘の治療ではなく、科学的根拠に基づいた治療を実践することができます。
歯科用CTによる正確な診断
比較的大きいむし歯の場合、歯の神経を抜くかの判断に迫られる状況があります。その際、むし歯の拡がりがどういう状態であるか、平面の写真ではわかりづらい部分もCT撮影で正確に確認する事で、神経をギリギリ残せるようにむし歯を除去していくという判断ができます。また、歯の表面のむし歯だけでなく歯の根っこの方へのダメージなど外から見ることが出来ない部分も確認出来るので、必要最小限の歯の切削を考える場合に有効です。
歯科用ルーペの利用
歯科治療において多くの部分は歯科医の『目』によって行われます。この歯科医師の『目』に大きな手助けをしてくれるのが歯科用ルーペです。歯科用ルーペを使い細部まではっきりと大きく見ることで繊細な治療をしやすくなり、歯を削る量を最小限に抑えることが可能になります。
適したドリルの利用
歯を削るドリルには、多くのサイズ・種類があります。
当然のことですが、大きいドリルを使うと歯を削る量も大きくなり、小さいドリルを使えば、歯を削る量が少なくなります。
当院では削る量を最小限にするために状況に応じて適したドリルを度々変えて効率よく処置します。現在、器具の進歩により非常に径の小さいミニマムバーというドリルで0.1mm単位での処置が可能になっており、歯の削る量を最小限に留めるためにこれらのドリルも活用しながら治療を進めます。
コンポジットレジンの活用
レジンとはプラスチックの素材で、最初はペースト状ですが特殊な光を当てることで固まります。素材が樹脂のためどのような形状にも対応でき、銀歯などと比べて削る歯の量を最小限に抑えることが出来ます。また、金属を一切使用していないため金属アレルギーの方でも安心して治療を行う事が出来ます。どんなケースでもレジンを使うことができる訳ではありませんが、適応症例と判断した場合は第一選択肢と考えられます。
レジンは天然歯に近い色をしているため治療跡が目立たず審美的にも優れています。美しい仕上がりのためには技術が必要となりますが、ドクターの経験があれば優れた選択肢となります。
スピードむし歯治療
- 仕事が忙しく長い通院が難しい
- 休日に一気に治したい
- 遠くから通院するので、なるべく回数を減らしたい
- 長期留守、海外転勤の前に全てむし歯を治したい
- 引っ越しすることになったので、それまでにむし歯治療を終わらせたい
短期の治療を望まれる方に来院回数を減らした特別な治療計画を作成し、来院のご負担が出来るだけ少なくなるように配慮致します。当院では複数の専門分野をもつドクターが常勤しているため、各専門分野を活かした治療を短期間で行うことが可能です。
スピードむし歯治療を行う場合、治療内容によっては来院回数を減らすために1回当たりの治療が1~2時間という長時間に場合がありますので、ご相談させていただきながら治療計画をたてます。
スピードむし歯治療の流れ
1.初診時に各種検査を行います
治療計画を立てるために、お口の中の状態を確認し、レントゲン撮影による検査を行います。
2.治療計画を作成します
検査の結果をもとに、治療計画の相談をさせていただきます。患者様のご都合に合わせ、集中治療の日時を決定致します。
3.治療費のお支払
受付にて治療費をお支払いください。保険治療のルールのもとで、短期治療を行う事は現実的ではないことが多いため短期集中治療は保険外治療が中心になります。
4.治療を行います
ご予約の日時にご来院ください。治療計画にもとづいて集中治療を行います。1回当たりの時間を長くとっているため急なキャンセルなどは極力控えてくださるようお願いいたします。
むし歯の進行
むし歯は、歯垢・プラークの中にいる「むし歯菌」(ミュータンス菌)が主役となって起こります。むし歯菌が食べ物中の当分を取り込み作り出した酸によって、歯のエナメル質を溶かしてしまうことが、いわば歯への攻撃といえます。
その後、エナメル質より柔らかい象牙質を溶かし、さらに歯髄(神経)へとむし歯菌が進行。個人差はありますが、このタイミングで歯の痛みとなって現れます。象牙質や歯髄はエナメル質より軟らかいので、酸によって溶けやすく、なるべく早くむし歯の治療が必要となります。