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ブログ&コラム
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2023.01.15

矯正治療と抜歯

歯並びを治すための抜歯は患者さんにとって大変心配で気がかりなことであると思います。また、歯科医師にとっても診断上重要な要素になります。歯科医師が矯正治療を開始しようとする場合、最初から安易に歯を抜こうと考えることはありません。何とか歯を抜かずに治療が出来ないものかと案じ、そのためにいろいろな方法を考えますが、それには限界もあります。

患者さんからも、なんとか歯を抜かずに矯正治療ができないかとの質問を受けますが、答えは、「歯を抜かずに治して患者さんの噛(か)み合わせが良好で、口元のバランスもよく矯正治療後の歯並びが長年にわたって安定していると、判断できる場合には歯を抜かない」ということになります。特に乳歯から永久歯にはえかわる時期に適切に対応することによって、歯を抜かないで治療を行なえる可能性が高まるということがあります。

しかし、治療結果を悪くしてまで歯を抜かないという判断はできません。抜歯が必要な症例にもかかわらず、無理に歯を抜かずに治療をして、結局良くならなかったでは、何のために矯正治療を受けたのかということになります。
歯を抜くか、抜かないかという一つの問題だけが大切なのではなく、患者さんにとって総合的にどんな治療法がベストかを十分に検討し、また相談することが重要であると考えます。人それぞれいろいろな要素があると思われますので、かかりつけ歯科医あるいは専門医にご相談されることをお勧めいたします。

大阪府歯科医師会 垣内康弘
からだの相談室Q&A 毎日新聞 2005/11/25掲載